産業保健師として働いていると、定期健診の時期や休職対応が重なる時期は、正直かなり忙しくなります。 気持ちがすり減りそうになることもあります。
そんな忙しさの中で、ふと看護師時代のことを思い出す瞬間があります。 今日はその話をしてみようと思います。
■ 看護師の仕事は、「生きる」に直結していた
看護師の仕事は、治療そのものに関わることはもちろん、食事、排泄、清潔など、 その人が生きていく上で絶対に欠かせないことを支える仕事です。
正直に言うと、病棟で働いていた頃は、こうしたケアを「面倒だな」と感じてしまうこともありました。 忙しい業務の中の一つとして、こなしていた部分もあったと思います。
でも今振り返ると、あの「面倒だな」と感じていたケアこそ、 人間の“生きる”を支える、最も本質的な看護だったのだと気づきます。
■ 実は一番苦手だったのは「書類仕事」だった
私が一番「面倒だな」と感じていたのは、ケアそのものよりも書類仕事でした。
- 看護計画書
- 転倒・転落のアセスメント
- せん妄リスク
- 褥瘡リスク
- 入院時の大量の書類
- 点滴の針や医療材料のコスト計上
こうした事務的な作業は、看護というより“経理や事務”に近い感覚がありました。
患者さんの生活を支えるケアには「これぞ看護師の仕事」という実感があったのに、 書類仕事にはその感覚が薄く、苦手意識が強かったのを覚えています。
■ 離れてみて、初めて分かったこと
産業保健師になった今、社員さんの健康管理や休職対応に関わる中で、ふと気づいたことがあります。
看護師がやっていたことは、 “生きていく上で欠かせないもの”に直接手を差し伸べる仕事だったんだな と。
このことに強く気づいたのは、産業保健師の仕事そのものより、 産業保健師をしながら並行して続けている 単発バイト がきっかけでした。
施設やデイサービスのバイトで、利用者さんの食事や排泄、移動といった生活動作をお手伝いする中で、 「これは人間にとって絶対になくてはならないものなんだ」と改めて感じたのです。
食事も、排泄も、清潔も、移動も、 人が生きていくうえで欠かせない“生活の根っこ”。
そこに直接手を差し伸べていたのが看護師の仕事でした。
■ 産業保健師の仕事は「働く人」を支える仕事
一方、産業保健師の仕事は、会社で働く社員さんの健診結果を見たり、 体調を崩して休職した方の復職支援をしたりする仕事です。
これはこれで、働く人にとってとても大事な仕事です。 でも、よくよく考えると 質が違う んですよね。
産業保健師の仕事は「働く」という前提があってこそ必要になるもの。 でも、食事や排泄、睡眠といった生活動作は、働いていようがいまいが、人間である以上絶対に必要なもの。
その“当たり前”を直接支えていたのが看護師だったのだと、離れてみて初めて気づきました。
■ 看護師は「誰かに必要とされている」実感が強い仕事だった
看護師をしていた頃、自分のことを「白衣の天使」だなんて思ったことはありませんでした。 いつも優しくできていたわけでもないし、余裕がない日もたくさんありました。
でも今なら分かります。
優しかったかどうかは別として、 やっていた仕事そのものが、実は“天使的”だったのかもしれない。
忙しさに追われて、そのありがたみに気づく余裕がなかっただけ。 離れてみて初めて、看護師という仕事の尊さがよく分かります。
■ 看護師の仕事に疲れている人へ
もし今、看護師の仕事に忙しさや面倒くささを感じている方がいたら。
書類仕事に「これ看護師の仕事なのかな」とモヤモヤすることがあっても、 その傍らでやっているケアは、誰かの“生きる”を確かに支えています。
あなたが当たり前のようにやっているケアは、 誰かにとっては「生きるために絶対に必要なこと」。
その価値は、離れてみると本当に大きい。
■ 保健師の仕事は「組織を良くする」仕事
一方で、保健師の仕事は、一人ひとりというより、 組織や集団を大きな視点で良くしていく仕事だと感じています。
目の前の一人に寄り添うことにやりがいを感じる人もいれば、 大きな視点で全体を改善していくことが好きな人もいる。
どちらが優れているという話ではなく、 向いている人の感覚が違うだけ。
看護師も保健師も、どちらも尊い仕事です。
■ 余談:サザコーヒー本店が素敵すぎた話
今回のアイキャッチ画像は、茨城県ひたちなか市にある サザコーヒー本店 で撮った写真です。
古民家のような重厚な梁、大きな窓、緑豊かな庭。 想像以上に落ち着く空間で、時間がゆっくり流れるような場所でした。
看板メニューの「将軍珈琲」は、コクがありながらすっきりした後味で人気の一杯。 茨城に行く機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。
あなたの働き方が、もっと自由になりますように…。


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