治験の現場で学んだこと|第Ⅰ〜Ⅲ相の仕組み、同意説明、検体処理のリアル【CRC時代の記憶】

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こんにちは。ハッピーナースのキャリアさんぽ、ハピナスのゆきんこ⛄です。

前回、CRC(治験コーディネーター)の働き方の種類についてお話ししましたが、今回はもう少し具体的に、治験の仕組みや、当時のリアルな業務について語ってみようと思います。

■ 治験には第Ⅰ相〜第Ⅲ相があることを、この仕事で初めて知った

CRCとして働くまで、恥ずかしながら治験の仕組みをきちんと理解していませんでした。この仕事を通じて初めて知ったのですが、薬が世に出るまでには段階があります。

まず、動物を使った試験(非臨床試験)で効果や安全性が確認された後、人での試験である「治験」に進みます。治験は基本的に、第Ⅰ相(少数の健康な成人を対象に、主に安全性を確認)→第Ⅱ相(少数の患者さんを対象に、効き目と安全性を確認)→第Ⅲ相(多くの患者さんを対象に、他の薬との比較や長期の安全性を確認)という順に進んでいきます。ただし、抗がん剤など一部の薬は、健康な人に投与するわけにはいかないため、第Ⅰ相の段階から患者さんに協力してもらう場合もあります。

私自身がCRCとして担当していたのは、この中の第Ⅲ相のみでした。この段階まで来ているということは、薬としての安全性はある程度確認されていて、あとは実際の患者さんのレベルで効果があるかどうかを確認する段階、ということになります。とはいえ治験である以上、「絶対に安全」と言い切れるものではありません。だからこそ、通院のたびにプロトコール(治験実施計画書)に沿って、決められた健康チェックを丁寧に行っていました。

CRCとして、第Ⅰ相や第Ⅱ相から患者さんに関わっている方もいると思います。私の経験はあくまで第Ⅲ相という一部分だった、というのは補足しておきたいポイントです。

■ 治験に参加する患者さんにとってのメリット

治験というと身構えてしまう方もいるかもしれませんが、患者さんにとってメリットもあります。治験にご協力いただく謝礼として協力金(負担軽減費)が支払われることに加え、治験薬の投与期間中は、その治験に関わる医療費を製薬会社が負担してくれる、という仕組みがありました。

■ 被験者さんへの同意説明、最初はロールプレイで練習した

CRCの業務の中でも印象に残っているのが、患者さんへの同意説明です。当時20代半ばだった私にとって、初めて人にきちんとまとまった説明をする経験でした。会社でロールプレイの練習をしたのを覚えています。

制度上、同意説明は「治験責任医師の補助」という位置づけになっています。ただ実際の現場では、名目はそうであっても、実質的にはCRCがしっかり説明を行っているケースがほとんどでした。

説明のポイントさえ押さえてしまえば、あとは治験ごとにプロトコールの細かい内容が変わるだけなので、そこを理解しておけば同意説明自体はスムーズに行えるようになりました。記憶をたどると、大体こんな流れで説明していました。

  • 治験とは何か、という基本的な説明
  • この治験に参加するメリット・デメリット
  • 通院スケジュール
  • どんな薬なのかという説明

一つひとつは専門的な内容ですが、順序立てて説明することを意識すれば、伝わりやすくなると感じていました。

■ 検体処理も担当していた、小さなクリニックでの経験

私は小さなクリニックに派遣されていた立場だったので、採血後のスピッツ内の血液を遠心分離器にかけ、血漿を吸い取って提出する、という業務も行っていました。

ただしこれは「CRCの仕事」というより、「看護師の資格を持っていたからこそ対応できた業務」という位置づけです。今は、検体処理はCRCではなく施設の看護師や臨床検査技師が行うべき、という考え方がより明確になってきているようです。当時は今よりも、その線引きが厳密ではなかったのかもしれません。

■ 昔は手書き、今はシステム入力が主流に

もう一つ、今と大きく違うなと感じるのが書類の作成方法です。私が働いていた頃は、治験の結果をまとめる書類(症例報告書)は手書きでした。今はおそらく、EDC(電子的な症例報告システム)への入力が主流になっているはずです。手作業だった当時を思うと、今のCRCの業務効率はかなり上がっているんだろうなと感じます。

■ 会社携帯を常に持ち歩くのが、地味にストレスだった

私が勤めていた会社では、CRCは会社支給の携帯電話を常に持ち歩くというスタンスでした。もし患者さんから電話がかかってきたら対応する、という位置づけです。とはいえ、実際に患者さんから電話がかかってきた記憶はあまりありません。

病棟看護師を経てからCRCになった身としては、24時間電話が鳴りっぱなし、というようなことはもちろんなかったのですが、それでも「常に携帯を持ち歩いていないといけない」という感覚自体が、なんとなくストレスに感じていたのを覚えています。オンコールのような緊張感が、形を変えて続いていた感じでした。

■ まとめ

CRCという仕事を通じて、治験の仕組みや、患者さんが治験に参加する意味、そして看護師としての経験がどんな場面で活きるのかを、身をもって学ぶことができました。

  • 治験には第Ⅰ相〜第Ⅲ相があり、私が担当していたのは第Ⅲ相のみ
  • 患者さんには協力金や医療費負担といったメリットがある
  • 同意説明は「医師の補助」という名目でも、実質CRCが説明を担うことが多い
  • 検体処理などは、看護師資格があったからこそ対応できた業務
  • 書類作成は手書きからシステム入力へと大きく変化している
  • 会社携帯を常に持ち歩く感覚は、地味にストレスだった

今CRCという仕事に興味がある方の、参考になれば嬉しいです。

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